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大学院博士課程 薬剤師の雑記です。

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【初めて論文を書く人へ】Greatな論文はどのように書けばいいのか

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 こんにちは。Junです。

とても久しぶりの投稿になってしまいました。

2ヵ月ぶりくらい。笑

 

最近、論文執筆に関するwebセミナーに立て続けに参加していました。

その忘備録でも残しておこうと思いまして、記事を書こうと思います。

コロナをきっかけにwebセミナーが増えたのは、
良かったことの一つかなと感じています。

簡単に知識を得るきっかけにアクセスできます。

コロナというブラックスワンが、

爆速で世の中のオンライン化を推し進めた思うと感慨深いような気もします。

 

本記事では、「論文をどのように書けばいいのか」について
まとめています。

論文を書こうと考えている方の参考になるような記事にしたいと思いますので
読み進めていただければ幸いです。

 

 

Stand on the shoulders of giants

 

ところで、本記事のタイトルにもしましたが、

「巨人の肩の上に立つ」

という言葉を聞いたことはありますか?

これは、ニュートン力学などで有名な
アイザック・ニュートンが残した言葉です。

大学院生ならば、どこかしらで聞いたことがあるのではないでしょうか。

 

研究とは、長い月日をかけて高く積み重なった研究成果という論文の肩に立ち、
先人より少しだけ遠くを見せてもらうという行為です。

「巨人の肩の上に立つ」という言葉は、これを端的に表現した言葉になります。

 

研究活動に携わっているのであれば、
巨人の肩の上に立ち、自分も巨人になる、

つまり、自分の研究を論文にまとめ、広く後世に伝えていくこと
非常に重要な仕事の一つになるかと思います。

その積み重ねが「巨人の肩」になっていくのです。

 

それでは、どうやって論文を書けばいいのか、

その内容に移りたいと思います。

 

論文を書く前に自問自答してみる。

論文を書く前に、書く準備ができているのか
いくつか自分に質問してみましょう。

 

それは新しい内容なのか?

論文で報告する内容には、必ず新規性が求められます

新規性があるのかないのか知るためには、巨人の肩の上に上る必要があります。

つまり、これまでに報告があるのか過去の論文を読み込むということです。

自分の研究の立ち位置を知らないとIntroductionも書けませんから、
論文を書く前に知る必要があります。

それは面白い内容なのか?

また、研究内容は面白いと自分が胸を張って言えるのか
そして、それはなぜなのか自分の中で答えを持っておくのも重要です。

こんなに面白い内容なんだから、と論文を書くモチベーションにもつながります。

沢山rejectされても、なんとかacceptしてやるぞ、と
気持ちを切らさないようにするためにも重要かもしれません。笑

 

というか、これらに関しては
論文を書く前にすべきことではなく
研究を始める前にすべきことかもしれませんね。

研究を始める前に自問自答して、
論文を書く前にも再度自問自答してみる必要がある、
という意味で捉えていただければと思います。

それは現在注目されている話題なのか? 

注目度が高い内容なのかは、
acceptのされやすさに関与してくるのかなと思います。

 自分が報告する内容はインパクトが非常に大きいため
この論文を発表することで注目される話題となりうる、
というような場合は無視しても良い質問かもしれませんが...。

 

注目度の高さは、PubMedなどのデータベースでキーワードを検索して
その推移をみてみるのが最もスタンダードな手段でしょうか。

あるいは、その話題についての総説が最近出ているか否かで
判断するのも手かと思います。

 

以下のグラフはあるキーワードをPubMedで検索した結果になります。

このキーワードをタイトルに含む論文が
1年でどれだけpublishされたかを示しています。

2000年以前はほとんど論文が出ていませんが、
2015年以降急激に論文数が増加しています。

どんなキーワードが分かりますか?笑

 

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正解は...

 

「PD-1」でした!

 

 PD-1といえば、本庶 佑先生が2018年にノーベル医学生理学賞を受賞されましたね。
2018年にはすでに超Hot Topicであったことが、この論文推移をみてみるとわかります。

 

このように、文献データベースで検索して
その年次推移をみてみると研究内容が今話題なのか否かが
明らかになるのではないでしょうか。

 

投稿に最適な雑誌を選ぶ。

論文を書き始める前に、投稿する雑誌を決めておくと
フォーマットに沿って書き始められるというメリットがあります。

まず、候補となる雑誌をいくつかピックアップしていきましょう。

自分の論文の引用している参考文献を見る。

論文を書き始めていなくても、引用しようと思っている論文は
なんとなくプールされているのではないでしょうか。

プールされている論文が掲載されている雑誌は何か、
改めてみて見るとある程度共通した雑誌が見えてくるはずです。

この中から投稿雑誌を考えるのも手かもしれません。

候補に挙げた雑誌の最近のレビューを見る。

最近レビューとして取り上げられているような話題は、
雑誌としても注目度が高いということになります。

自分が投稿しようとしている話題と雑誌が注目している話題に
重なる点があるのかを確認しておくことで
acceptされる割合が高くなる可能性もあります。

雑誌のwebサイトで論文投稿の基準や審査過程を知る。

雑誌のホームページにある「about」というページや
「Why submit to Journal A」などで各雑誌の性質、つまりどのような論文を求めているのかを知ることができます。

また、論文をどのように審査するかも記載されているため
論文投稿前にできるだけ早く確認しておいた方が良いと思われます。

論文を書く。

多くの雑誌では論文をIMRAD形式で記載することが求められます。

IMRAD形式とは...

 I: Introduction(序論)

 M: Materials and methods(材料・方法)

 R: Result(結果)

 A: And

 D: Discussion(考察)

このような構成の文章を指します。

IMRAD形式で記載すると端的に分かりやすくまとめられるという利点があります。

論文はどこから書くべきか。

 実験の結果がすでに得られているのであれば、
まずは実験結果(図や表)を並び替えて構成をざっくりと考えていきます。

次に、Method、Result、Discussionをまとめていき、
Conclusion、Introductionをまとめ、
最後にTitle、Abstractを書き上げるという流れで書いていくと
書きやすいのではないでしょうか。

Introductionで何を記載するか。

導入部分の分かりやすさは、論文全体の理解に大きく影響します。

最も苦戦するのはIntroductionかもしれません。

 

Introductionはおおよそ以下の割合で記載すると良いと言われています。

 ① 背景: 50%

 ② 目的: 20%

 ③ 方法: 10%

 ④ 結果: 10%

 ⑤ 結論: 10%

 

① 背景は、なぜこの研究課題をクリアしなければならないのか

その意義を説明する部分になります。

・現在何が問題なのか、課題何か。

・現段階での解決策は何か。

・最も優れた解決策どれか。

・何が制限となっているのか。

・どのような着眼点で課題をクリアしようと試みるのか。

・この課題をクリアすることで、何が得られるのか。

 このような内容を書くと説得力のある文章が書けると思います。

 

今まで明らかにされていないからやる、というだけでは説得力に欠けます。

背景では学術的な意義を説明する必要があります。

 

適切な言語で論文を書く。

現在の世界共通語は「英語」です。

したがって、世界に情報を発信する論文を書く言語は英語が適切です。

もし今後、世界情勢が移ろい、中国語が世界共通語になった場合は
中国語で論文を書くのが適切となるのでしょう。

しかし、今は英語で書くのがベストです。

論文は客観的に、正確に、簡潔に書く。

読み手側は、文章構成の型さえ抑えれば非常に論文を読むのが楽になります。

論文で書かれている英語は小説などの英語と比較して
読みやすく理解しやすいとも言われています。

それはなぜか?

論文は、誰が読んでも理解しやすいように書かなければならないからです。

小説とは異なり、文章を読んで一人ひとりの受け止め方が違っては困るのです。

 

では、分かりやすい文章を英語で書くには、
具体的にどうすればよいのでしょうか。

 

主語→動詞→目的語の順番で書く。

分かりやすい英語を書くためのポイントは主語を先頭に置くことです。

主語が何か最初に分かった方が文章が頭に入りやすいためです。

 

例えば、

It is thought that ...

It is important to ...

It is clear that ...

などの表現は避けるべきです。

文頭を読んでも主語が何なのかわかりません。

また、これらはEmpty Phrases(空のフレーズ)と呼ばれています。

全く意味のない句という意味です。

 

私は主語が長くなってしまう場合にこういった表現を汎用していたのですが、
これからはやめようと思いました。笑

中学生のころ主語が長くなる場合はItで書けって習った気がしてごにょごにょ...

 

そもそも、主語が長くなっている場合は
文章の構成自体を見直した方が良いのだと思います。

日本語をそのまま英訳しようとすると
こういったことが起こりやすいので注意する必要があります。

 

例えば

 It is thought that A is ... 

であれば

 A seem ...

 A might have been ...

などに修正することで、最初に主語を置くことができ
理解しやすい文章の構造にできます。

 

なるべく能動態で書く。

分かりやすい文章を書くためになるべく能動態で書きましょう。

受動態で書いてしまうとややこしい文章構造となり分かりにくくなります。

主語を自分にしてしまうと受動態で書かなければならなくなってしまうため、
無生物主語を置くことで、能動態で記載するようにします。

 

例えば、受動態で書くと、

 A was shown by our results.

能動態で書くと、

 Our results showed A.

どちらも、我々の結果によりAと示された。という意味の文章になります。

しかし、能動態で記載する方が端的に言いたいことを表現できました。

 

これら英語表現における注意点は論文を書くときに以外にも
国際学会に提出する要旨等にも役立ちます。

一通り文章が書けたら、先ほどのポイントについて
もう一度見直してみるとより分かりやすい文章になるのでお勧めします。

 

...ということで、

本記事では、論文の書き方についてまとめてみました。
何か一つでも参考になることがあれば幸いです。

 

それでは、また!

Jun 

 

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